南京虫の駆除について

皮膚の上にいる南京虫

寄生昆虫である南京虫は、別名トコジラミとも呼ばれています。

戦後の日本ではほとんどみることがなくなった同種ですが、近年海外渡航者が増加するにしたがい、日本国内に持ち込まれるケースが増えてきました。

噛まれると赤く腫れあがり非常に強烈な痒みやアレルギー症状を起こす南京虫について、有効な駆除方法をみていきましょう。

南京虫による被害は想像以上

南京虫とは? 名称について

ダニと同じく吸血昆虫であり、カメムシなどの近縁種で、シラミの仲間ではありません。

南京という名称も、江戸時代に海外から伝来した珍しいものや小さいものについて、南京とつけることが多かったことに由来しているようです。

もっとも実際に中国の南京付近にも多く生息していることから、地名が由来でも不思議ではないのですが、そもそも南京虫自体が世界中に生息していることから考えても、一地域の名称というのは当てはまらないのかもしれません。

南京虫の特徴と習性

南京虫はオスもメスもヒトの血を吸って栄養源にしています。

実は生まれてから死ぬまでずっと、南京虫は血を吸うことで生きていくのですが、たとえ血が吸えない、つまり飢餓状態でも一年以上生存したという記録があります。

それほどまでに生命力の強い南京虫ですから、簡単に駆除することはできないのです。南京虫は夜行性であり、昼間は壁の隙間などにじっと身を潜めています。

もちろん昼間でも暗い場所では活動しますし、夜でも明るい場所にはでてきません。このため南京虫の被害がひどい地域では、夜間も電灯をつけたまま就寝するようなケースがあります。

南京虫駆除の流れ

南京虫に殺虫剤は効果がないのか?

そもそも戦後の衛生状態で爆発的に繁殖していた南京虫を、現代日本レベルまで駆除できたのは殺虫剤による効果が大きいと言われています。

特に有機リン酸系の殺虫剤の効果は高く、多くの南京虫とその卵が、殺虫剤によって駆除されました。

しかし当時は環境や人体に対する影響への配慮もほとんどなかった時代ですから、かなり強力な薬剤が使われたであろうことは、容易に想像がつきます。

DDTは、戦後の日本の生活環境を一変させました。その後環境ホルモンなどの問題が取りざたされ、世界的な使用が禁止されたことはみなさんもご存知でしょう。

一部で懸念されたとおり、現在は問題となっている南京虫の一部には、殺虫剤への薬剤耐性をもつ「スーパーナンキンムシ」が登場しています。今は効果のある殺虫剤でも、いずれその効力を失うかもしれないということなのでしょう。

南京虫駆除の効果的な対策とはなにか

南京虫は生命力も繁殖力も強いことから、仮に成虫だけを駆除できたとしても、その旺盛な繁殖力ですぐに個体数が回復してしまいます。つまり南京虫の駆除においては、成虫と卵の両方を一網打尽にしなければならないということなのです。

昆虫の卵の多くには、殺虫剤の効力が及びませんから、もしも殺虫剤を使用するならば、複数回、定期的に散布を行うほうが効果的でしょう。

強力な殺虫成分によって成虫の南京虫を根絶やしにしたのち、残された卵の孵化を見計らって再度殺虫剤の散布を行えば、繁殖前に南京虫の個体数を大幅に減らすことができるわけです。

この工程を何度か繰り返すことで、あるいは南京虫を完全に駆除できるかもしれませんが、強い殺虫成分が人体に及ぼす影響は無視できないかもしれません。特にちいさなお子様やペットのいる家庭では、この方法は使えません。

プロが使う南京虫駆除方法をご紹介

害虫駆除を専門に行っている業者の多くは、南京虫駆除に関して薬剤散布を重視していないようです。

それではどのような方法を取っているかというと、物理的な吸引、撤去、排除と高温スチームなどによる熱殺虫処理です。

プロが行うのは、まず南京虫の卵がある場所を徹底的に調査し、これを吸引や熱処理してしまうことです。卵自体は逃げませんから、見つけてさえしまえば処理は容易です。ただし、見つけ出すには専門の知識が必要で、さらに特殊な探知犬などを駆使するケースもあります。

それほどまでに南京虫の卵を見つけ出すのは困難なのです。熱処理は主に高温のスチームなどで行います。乾燥機の大型のものを使用することもあり、こちらも専門設備が必要になります。

南京虫発生を予防するコツは?

外部から持ち込まれる危険性を知る

戦後日本ではあまり見かけなくなった南京虫ですが、海外では依然として猛威を振るう害虫の代表です。

日本に来る外国の渡航者や、海外から戻ってくる日本の渡航者は、持ち物に南京虫を付着させたままであることも当然あります。

それらの「持ち込み」がホテルや旅館に被害を及ぼし、さらにはそこに泊まった旅行客や出入りの業者を介して拡散されていくわけです。

海外からのものはなんでもチェック

自宅に「持ち込まれるもの」については、そこに見慣れないものが付着していないかチェックする習慣を付けましょう。

これらは南京虫に限らず、自分の生活を守るうえでとても重要なことになります。

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